ボリンジャーバンド

この記事でわかること

・ボリンジャーバンドとは

・ボリンジャーバンドトレード

・ボリンジャーバンドまとめ

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンド(Bollinger Band)とは、1980年代初めにジョン・ボリンジャー(John Bollinger)が考案したテクニカル分析指標です。

ボリンジャーバンドは相場におけるボラティリティ(価格変動幅)を2本のバンド(帯)で視覚化したものです。

ボリンジャーバンドではボラティリティが上昇するとバンドは広くなり、ボラティリティが低下するとバンドは狭くなります。

ボリンジャーバンドは上図のように①ミドルバンド、②アッパーバンド、③ロワーバンドの3本から成っています。

標準偏差という聞きなれない用語があるかと思いますが、ボリンジャーバンド理解に必要なので後述します。

 

  1. ミドルバンド:20期間単純移動平均(20SMA)
  2. アッパーバンド:20期間単純移動平均  +(標準偏差×2)
  3. ロワーバンド:20期間単純移動平均  −(標準偏差×2)

 

標準偏差とは

標準偏差とは簡単に言うと、平均に対するばらつき度合いを示すものです。※標準偏差について詳しく知りたい人:Wikipedia

ボリンジャーバンドではミドルバンドの平均価格(20SMA)に対する標準偏差(ばらつき度合い)をσ(シグマ)という単位で表します。

以下は正規分布図というもので、標準偏差と確率の関係図です。

 

±1σの範囲内に収まる確率が約68%、±2σなら約95%、±3σならほぼ100%の確率で収まります。

ボリンジャーバンドはミドルバンドは単純移動平均線(20SMA)、アッパーバンドは2σ、ロワーバンドは−2σがデフォルトなケースが多いです。

この場合のボリンジャーバンドは、20SMA価格に対して標準偏差±2σの範囲を示しており、この範囲に約95%価格が収まることを示す図なのです。

 

 
トラッキー
バンド上端と下端で売買すればほぼ勝てるってこと!?

 

たしかに価格がバンド手前で反転する(収まる)ことも多く、バンド上端で売り、バンド下端で買いの逆張りが有効なケースもあります。

ただボリンジャーバンドを単純な逆張りシグナルだけで使用するのは最大の誤りです。

実はボリンジャーバンドはトレンド方向のブレイクに沿った順張りにも大変に効果を発揮します。

ではボリンジャーバンドの特性と実際のトレードについてみていきましょう。

ボリンジャーバンドトレード

ボリンジャーバンドはボラティリティが低下するとバンドは狭くなり、ボラティリティが上昇するとバンドは広くなります。

バンドが広くなることをエクスパンション、ハンドが狭くなることをスクイーズといます。

ボラティリティは規則的でないにしても高低のサイクル(バンド伸縮サイクル)を持っています。

バンドが狭くなったスクイーズ(レンジ相場)からバンドが拡大したエクスパンション(トレンド相場)を経て再度スクイーズとサイクルを繰り返します。

この特性も踏まえてボリンジャーバンドトレードを見てみましょう。

①逆張り

価格の推移がレンジ相場である場合は、上端のアッパーバンドがレジスタンス、下端のロワーバンドがサポートとなります。

そのためレンジ相場では、上端では売り、下端では買いといった「逆張り」が有効な売買戦略となります。

 

この図ではボラティリティが低くバンドの幅も狭いレンジ相場であり、移動平均線もローソク足と絡み合って横ばいとなっています。

このような価格の動きが小さく安定している時は上端で売り、下端で買いの戦略は有効です。

ではこの図を少し修正したものをみてみましょう。

3度目の逆張りの買いが追加されていますが、買った後に価格が一気に下がり見事に失敗しています。

 

 
トラッキー
常に逆張りでうまくいくほど甘くないよな…

 

ボリンジャーバンドは逆張りで使えることもあるが、単純な逆張りシグナルだけで考えるのは最大の過ちです。
±2σ以上のバンドでは95%以上の確率でその範囲に価格が収まること、上下のバンドでの逆張りが有効なことから勘違いするのも無理はありません。
なぜならボリンジャーバンドは限定期間20SMAを元にしたバンドでの確率であり、将来もその確率が約束されるわけではないからです。
 
 
トラッキー
確率を鵜呑みに逆張りだけはダメってことね

 

一番重要なことは価格トレンドを見極めトレンド方向のトレードをすることです。

3度目の逆張り買いが失敗している時、移動平均線は完全に下向きで直近価格ローソク足も過去平均の移動平均線価格を下回っています。

このような弱気相場であるにも関わらず、ボリンジャーバンドの下端=買いシグナルと浅はかなトレードが通用するほどトレードは甘くないのです。

バンドの上端下端では買われ過ぎ売られ過ぎであることは間違いありませんが、それは逆張りを推奨することではありません。

 

1.バンドはあくまで過去の価格を元にした偏差と確率を示すに過ぎない
2.バンドはいつか必ずブレイクされる
 

②順張り

ボリンジャーバンドの逆張りは相場状況を見た上、失敗した際のリスク管理(適切な損切り)も必要になります。

 

 
トラッキー
ボリンジャーバンドは順張りトレードの方が良いの?

 

実はジョン・ボリンジャー自身がボリンジャーバンドを逆張り使用することを推奨してはいません笑

ボリンジャーはバンドが拡大するエクスパンション時こそが利益の源泉になると主張をしています。

では以下の図で実際のエクスパンション時の順張りトレードを見てみましょう。

エクスパンション後にバンドにローソクが張り付くことをバンドウォークといいます。

バンドウォークが発生すると価格はバンドに沿って一方向に強いトレンドを持って動きます。

つまりバンドブレイク方向に順張りすることで価格の逆行リスクも少ない高確率で利益の大きなトレードが可能です。

 

 
トラッキー
強いトレンドに逆らう順張りは危険だね…
 
特にこの図では抵抗線を突破し移動平均線も上向きになっています。
これは売り手の損切りの買い戻しと新規買いにより強い価格上昇が発生し、直近価格の上昇により移動平均線も上向きになっています。
このような状況でバンド上端で売りと、短絡的なトレンドを無視した逆張り思考では相場で利益を残すことはできないでしょう。
あくまでもトレードは大きなトレンドありきで行われるべきということはいつ何時も忘れてはいけません。

ボリンジャーバンドまとめ

ボリンジャーバンドは非常にシンプルで使いやすい分、深く考えることは少ないかもしれません。

ボリンジャーバンドは過去の価格を元にしたボラティリティをわかりやすく示し、トレードにもすぐに応用できるものです。

トレードルールに関して順張り逆張りの2つ見ましたが、常にどちらが良い悪いという議論はそれほど意味をなさないでしょう。

将来の価格の動きは予測もましてや保証もできないので、他のインジケーター同様どんな時も完璧なことはありません。

トレンド認識や他のインジケーターや手法と組み合わせて、バンド突破の意味と状況を考慮した上で、トレードすることが重要です。