この記事でわかること
通貨ペア選びがとても重要な理由
通貨分類と通貨流動性を知る
タイプ別の通貨ペアおすすめ
通貨ペア選びの重要性
通貨ペアとは通貨の組み合わせのことです。
例えば米ドルを日本円で買う場合はドル円(USD/JPY)、英ポンドを米ドルで買う場合はポンドドル(GBP/USD)となります。
とはいえ通貨ペアを知ったところでFX初心者の方はこのような疑問を持つかと思います。
- 通貨の特徴をそもそも知らない
- 通貨ペアを決める基準は?
- 通貨ペアのおすすめは?
もちろん選び方に絶対の正解はないですが、資産の増減に直結する通貨選びは少なくとも個人の目的や取引レベルに沿って選ぶ必要があります。
自分に合った通貨ペア選びのため、まずは通貨カテゴリーと特徴からみていきましょう。
通貨カテゴリーと特徴
通貨カテゴリーは見解が分かれ明確には定義されていませんが、取引量とFX会社の取扱通貨を踏まえると4つに分類できます。
- メジャー通貨
- 準メジャー通貨
- 資源国通貨
- マイナー通貨/新興国通貨
メジャー通貨
・USD(米ドル)
・EUR(ユーロ)
世界経済の中心であり取引量が1番多い米ドルはメジャー通貨の中でも「基軸通貨」と呼ばれています。
またEU(欧州連合)の通貨であるユーロは取引量が2番目に多く「準基軸通貨」と呼ばれています。
準メジャー通貨
・JPY(日本円)
・GBP(英ポンド)
・CHF(スイスフラン)
メジャー通貨に次いで取引量の多いものが準メジャー通貨です。
日本とイギリスは金融システムや金融マーケットが発達しているため、準メジャー通貨としてイメージしやすいかもしれません。
スイスはというと取引量こそ比較して少ないですが、永世中立国であるため世界情勢不安や地政学リスク回避を目的とした取引需要が大きいです。
そのため準メジャー通貨でありながら「逃避通貨」や「安全通貨」とも呼ばれます。
資源国通貨
・AUD(豪ドル)
・CAD(加ドル)
・NZD(ニュージーランドドル)
準メジャー通貨に次いで取引量が多く、資源輸出が多い国の通貨を資源国通貨と呼びます。
資源国通貨の価格は資源(エネルギーや商品)の価格と連動性が高いことが特徴です。
マイナー通貨/新興国通貨(EME)
・ZAR(南アランド)
・TRY(トルコリラ)
・他多数
マイナー通貨とは取引量がそれほど多くない通貨を指し、そのうち高い経済成長が見込める国の通貨を新興国通貨(エマージング通貨)と呼びます。
マイナー通貨や新興国通貨(EME)は定義が幅広く不明確な部分もありますが、厳密な通貨分類が主目的ではないので取引量が少ない通貨をマイナー通貨と一括りにしても問題ないかと思います。
(例)マイナー通貨で新興国通貨(南アフリカランドやトルコリラ)、マイナー通貨で新興国通貨でない(韓国ウォン)
通貨の流動性
ここまで通貨分類をして特徴をおさえましたが、通貨ペア選びでもう1つ鍵となるのが「流動性」という言葉です。
流動性とはモノの流れやすさを表す言葉で、FXでは通貨取引(通貨の流れ)の容易さを表す言葉です。
世界で1番取引量の多い米ドルは流動性が高い、逆に取引量の少ない新興国通貨はドルに比べて流動性が低いというように使います。
では実際の通貨別の流動性をBISの外国為替市場統計で確認してみましょう。
※BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)は、各国中央銀行をメンバーとするスイスの金融組織 https://www.bis.org/
この表では2016年と2019年の「通貨別取引シェア」と「通貨ペア別取引シェア」をまとめています。
通貨別ではドル、ユーロ、円が取引シェアのTOP3であること、通貨ペア別ではドルー各国通貨で上位シェアを占めています。
米ドルー他通貨の通貨ペア(EUR/USDやUSD/JPY)をドルストレート
米ドル以外ー円の通貨ペア(EUR/JPYやGBP/JPY)をクロス円といいます
クロス円(EUR/JPY)の求め方は(EUR/USD)X(USD/JPY)となり、ユーロと日本円をそれぞれ米ドル換算した後にクロス(掛け算)して算出します。
通貨ペア選び3つのポイント
そしてこの流動性の高低によって、取引に重要な以下の3つの要素が決まります。
- スプレッド
- スワップ
- ボラティリティ
スプレッド
FXでは売値(BID)と買値(ASK)と2つの価格があり、この価格差がスプレッドです。
通貨ペアの「スプレッド」と「流動性」には密接な関係があり、流動性の低い通貨ペアほどスプレッドが広くなりやすいです。
流動性が低いとは買いたい時に買いづらく売りたい時に売りづらく取引リスクが高いことを意味します。
流動性が低いと外国為替市場で価格提示する金融機関はリスク軽減のため、買うならなるべく安い価格、売るならなるべく高い価格と売値と買値の価格を乖離させます。(スプレッドを広げる)
このようにマイナー通貨はメジャー通貨と比較して流動性が低いためスプレッドが広くなってしまうのです。
通貨ペア別取引シェア表でシェアの高いEUR/USD(ユーロドル)やUSD/JPY(ドル円)は流動性が極めて高いのでスプレッドは狭く、取引コストを極力抑えたい場合には最適な通貨ペアです。
スワップ
スワップとは各国の政策金利の金利差です。日本円でアメリカドルを買う場合は図のようにスワップ分の金利収入を得ます。
つまり通貨ペアを選ぶ際、金利の安い通貨を売って金利の高い通貨を買うと金利収入(プラススワップ)を得ることができます。
プラススワップによる収入をインカムゲインと呼び、プラススワップを目的に通貨ペアを決定することもできます。
高金利(高スワップ)通貨はトルコリラや南アフリカランドが代表的ですが、米ドルでも以下のようにスワップ金利が入ります。
https://www.xmtrading.com/jp/forex-calculators/swaps
FXではスワップを目的に長期保有で高金利通貨を運用している人も多いです。
ただその場合には、価格が下落しても手放さず(せず)に結局は金利収入(インカムゲイン)を上回る為替変動による損(キャピタルロス)を出してしまう人も多いです。
また先進国の高金利通貨(米ドルなど)に比べて、経済環境やシステムが成熟しきっていない新興国通貨では国の信用リスクから通貨流動性は低く、信用不安が起きた際の急激な通貨安(通貨下落)のリスクも大きいです。
いわば信用リスクが大きく流動性が低いからこその高金利なので注意が必要です。
ボラティリティ
ボラティリティとは投資用語で価格変動の大きさを表す言葉です。
例えば1日のドル円の値動きが100→100.50円よりも100→101円の方がボラティリティが高いという風に使います。
FXは価格変動による差益を目的としているので、ボラティリティが大きいほど少ない取引で利益を大きくするチャンスがあります。
ボラティリティは主に通貨の流動性(取引量)で決まり、マイナー通貨など取引量(取引者)が少ないほど高くなりやすいです。
オークション(競り)の参加者が100人の場合と2人の場合で考えるとわかりやすいかもしれません。
100人の場合は参加者が多く入札額は小刻みに上がりやすいですが、2人の場合は100人の時よりも小刻みになりにくいはずです。
つまり取引量や取引参加者が少ないほど価格は小刻みでなく一気に上下しやすくボラティリティが高くなる傾向があります。
具体的にはEUR/USDはGBP/JPYや他マイナー通貨に比べて取引量が多い(流動性が高い)ので、ボラティリティは低く値動きが安定しています。
※通貨ごとのボラティリティ詳細やランキングが知りたい方:https://hirose-fx.co.jp/category/market/volatility/index.html
流動性が低いほど…
・スプレッドは大きくなる
・金利は高くなる
・ボラティリティは大きくなる
通貨ペアおすすめは?
ここまで通貨分類4つとその特徴、通貨選び3つのポイントをご説明しました。
再掲の以下項目をもとに取引したい通貨と通貨ペアが決まった人もいるかと思います。
通貨4分類
- メジャー通貨
- 準メジャー通貨
- 資源国通貨
- マイナー通貨/新興国通貨
通貨選び3つのポイント
- スプレッドの狭い通貨
- スワップの大きい通貨
- ボラティリティの大きい通貨
最後におすすめの通貨ペアをずばり教えてほしいという方のためにもタイプ別おすすめ通貨を表にまとめました笑
「手間」と「リスク」から6タイプに分類したので通貨選びの参考にしてみてください。
(例) | リスク◯ | リスク△ | リスク× |
手間◯ | GBP/JPY GBP/AUD |
EUR/JPY AUD/JPY |
EUR/USD USD/JPY |
手間△ | GBP/JPY GBP/AUD |
EUR/JPY AUD/JPY |
EUR/USD USD/JPY |
手間× | TRY/JPY ZAR/JPY MXN/JPY |
CAD/JPY AUD/JPY NZD/JPY |
USD/JPY EUR/USD ※売り |
この表と通貨選び3つのポイントを踏まえて、みなさんにあった通貨ペアを決めれば、安心して取引開始できるはずです!