損切りの重要性と必要性

この記事でわかること

・損切りとは?

・損切りが重要な3つの理由

・損切りしないとどうなるか?

損切りとは?

FXをするにあたって避けて通れない言葉の1つが「損切り」です。

「損切り」というと言葉は悪いですが、日常でも実にあらゆる場面で頻繁に起こっています。

 

・新規事業が予想以上に振るわず早期に事業撤退する

・自分のスキル向上や将来性の観点から早期の転職をする

・振り向いてもらえない人をはやく諦め次の恋を探す(笑)など

 

損切りとは不利な状況からの撤退あるいは見切ることです。

FXにおける損切りとは金額がマイナスになっている注文を決済しマイナスを確定することです。

注文の損を切ることから損切り、別名ロスカットとも呼ばれます。

一例としては買ったドルが100円から99円に値下がりした時に売ること、あるいは売ったドルが100円から101円になった時に買い戻すことです。

 

 

ドルを買う(ロング)の場合

上がると予想したので価格が下がれば購入価格より安い価格で売ります。→ 損切り売り

ドルを売る(ショート)の場合

※下がると予想したので価格が上がれば購入価格より高い価格で買い戻します。→ 損切り買い

※「買い戻す」とは、100円のドルを売ると100円が手に入り99円に下がった場合に1ドルを99円で買う(買い戻す)と1円儲かり手元にドルが残る。手元にないものをあたかも売っているようなことから「空売り」と呼ぶことも多いです。

 

 
トラッキー
なんであえて不利な価格で負ける注文をするの?

 

投資をするからには買いであれ売りであれ、自分に有利な価格で本来は決済したいはずです。なぜなのでしょうか?

それは今後も不利な価格に動く可能性が高いため資金のさらなら減少を防ぐ、言い換えるならば傷口を広げないための撤退です。

では、なぜここまで損切り損切りと重要性が繰り返されるのでしょうか?

損切りが重要な3つの理由

損切りが重要な3つの理由は以下の通りです。

 

  1. 資金を守るため
  2. 仕切り直し注文のため
  3. メンタルコントロールのため

 

基本的な内容で退屈に思えるかもしれませんが、いずれも利益を出すためにとても重要な項目です。

各項目について順を追って見ていきましょう。

資金を守るため

損切りの果たす1番の役割は、資金が減るまたは無くなることを防ぐことです。

FXで1番重要なことを強いて挙げろというならば、経験則からも「資金管理」です。

なぜかというと資金が減るとパフォーマンスが落ちます。

1万円で1万円をつくるのと(+100%)、100万円で1万円をつくる(+1%)の難易度は雲泥の差です。

そしてなにより資金がない場合はいかに優れたトレーダーでもパフォーマンスをあげる術がなくなるため「資金管理」はとても重要です。

ここで資金を「100」という単位で考えてみましょう。当然150になれば当初より1.5倍、200になれば2.0倍になります。

では100の単位が90→80→70…と減っていくケースと損切りについてみてみましょう。

 

90で損切りした人が10に戻すため

→1.1倍(+111%)のリターンが必要

50で損切りした人が10に戻すため

→2.0倍(+200%)のリターンが必要

10で損切りした人が10に戻すため

→10倍(+1000%)のリターンが必要

 

 
トラッキー
お金って減るのは早いけど増えるのは時間がかかるなあ(泣)、まるで信頼のようだ…

 

当然のことに思えるかもしれませんが、資金が減れば減るほどパフォーマンスイーブン(当初資金水準)まで戻す労力が急激に増えます。

世界長者番付TOP3のウォーレン・バフェットの資産運用ファンドバークシャー・ハサウェイでも年率30%がやっと。(十分大きなリターンです)

テンバガー株と言われる10倍株ですら5年以上株価の上昇に時間を要する上、さらに何千銘柄の中で年間で数銘柄しか出ません。

要するに資金をひとたび減らすと増やすどころか取り戻すにも非常に大きなパワーが必要ということです。

このことからも継続的に安定的なリターンをあげるためには、資金を守ることは何にも変えがたいくらいFXでは重要なのです。

100の資金を150,200あるいは110にするならいけそうな気もしますが、損切りをせずひとたび資金を減らすとそれは絵に描いた餅状態になってしまうのです。

仕切り直し注文のため

資金を守るための損切りが「守りの損切り」ならば、仕切り直し注文のための損切りは「攻めの損切り」です。

仕切り直し注文とは、現在のマイナスの注文の損切りをして仕切り直した新規の注文をすることです。

 

 
トラッキー
仕切り直し注文のために損切りは必要なの?

 

注文可能量に対して実際の注文量が多い場合には、仕切り直し損切りが必要です。

FXは外国為替証拠金取引と呼ばれ、預け金に対して一定数の注文しかできません。

海外口座であれば資金100に対して100注文できるとすると、国内口座では資金100に対して0.1の注文しかできません。

※これはレバレッジといわゆる証拠金(準備金)の規定が異なるためです。詳細→

海外口座であれば注文可能量が多くあまり問題にはなりませんが、国内口座の場合では問題になりやすいです。

例えば国内口座で追加で0.1注文したい場合、現在の0.1の注文がマイナスならば損切り決済し0.1の仕切り直し注文をするか、当初の倍の証拠金を口座に入金しないと注文が出せません。

見込みのない注文に見切りをつけ損切りして、次なるチャンスに対して新規注文するためにも時として損切りは必要になります。

今回のケースは国内口座を使用している少額(10〜30万円程度)の方にとって、特に直面する問題です。

メンタルコントロールのため

損切りがメンタルコントロールのために必要とはどういうことでしょうか?

 

 
トラッキー
損切りして負けることがメンタルに悪いよ…
 

 

たしかに人間心理の本質として負けることや損することは通常は嫌です。

では、どこまで負けるかどこまで損失を被るか分からない場合よりも嫌でしょうか?

損失を限定できない場合の最大の弊害は、普段ならできる冷静な判断や行動が不能となりやすいことです。

具体的には、冷静さを欠いて不利な注文を繰り返したり(ナンピン)、怖さのあまりむやみに損切りしたりなどです。

よく例えるのですが、地上の上の平均台は多くの方が難なく歩けると思います。

これが地上100mで同じことをしろと言われたらどうでしょうか?

投資をやっている人ならもうお分かりになるかと思いますし、これから投資をはじめたい方も遅かれ早かれこの問題に対峙することになります。

損失を認めず限定していない冷静さを失うようなこの状況では、上の平均台現象のように普段できることが途端にできなくなるはずです。

ちなみに私も例に漏れず、2階程度の平均台からは落ちて怪我したことはたくさんあります。めっちゃめちゃ痛いですよ…笑

損切りしないとどうなるか?

一定必要なレベルで損切りをしないと(遅れると)無用に利益を減らし、長期視点でいえば間違いなく口座資金を飛ばします。

以下は2019年の実際の取引履歴一例を使って損切りしないとどうなるかを示します。

ちなみにこの時期は2018年後半からの短期円高トレンド、2019年明けてフラッシュクラッシュと言われる瞬間的な円高もあり市場として下の目線の時です。

※1ドル110円→109円となると円高、逆は円安となります。(ドルの交換が110円から109円しか必要なく円の価値が上がったと考えます)

 

 

注文数と利益こそ大きくはないですが、一進一退で最終行の-75,500円まで出ていた利益を1度のミスで飛ばしています。

今回の履歴はまさに損切りができないばかりにコツコツと稼いだ利益をドカンと吐き出す、コツコツドカンという悪い取引例です。

このような損切りの遅れは一時の利益を、そして損切りをしないとこれまでの利益をすべてふいにしてしまうのです。

投資を生業としている機関投資家やプロトレーダーのうち損切り水準やタイミングは違いがあれど、損切りをしない人は知る限りいません。

機関投資家は資産の何%で損切り(数%程度が多い)など水準を決めているのは、彼らが長期でリターンを上げることや少ない資金でリターンを上げる難しさを細胞レベルで理解しているからに他なりません。

損切りはほんとうに負けなのか?

額面通りならば損切りは負けです。損失を確定して口座履歴にマイナスを刻むんですから笑

現に損切りを極限までしなければ非常に高い勝率ばかりか口座にはプラスの履歴が増え資金もどんどん増えることも多いです。

すべてを否定するつもりはありませんが巷でも、

 

・損切りをなるべく避ける高勝率スキャルピング

・両建て(損切り回避のため売りと買いを同数量をもつ)

・ナンピン手法(不利な状況を新規注文により緩和する)

・マーチンゲール法(負けるたびに倍がけして最終的に負けを帳消しにする)

 

これらの名を借りた悪しき手法や商材またはそれを広める人が多いのも事実です。

相場では何時予想外の予想以上の価格の動きがくるかは誰にもわかりませんし、そのような状況ではもはや冷静に損切りできる状態ではないかもしれません。

繰り返しになりますが、相場に長期で安定的なリターンをあげるためには負けることは避けて通れません。

細かな失敗や負けに目を瞑り続けると、その代償はとてつもなく高くつくということだけは先人からも経験からも言えることです。

一時的な損切りを避けることで短期的には損失回避でき得するかもしれませんが、得するからといつも悪さをしているといつかは明るみになり償わなければなりません…