・オシレーターと設定
・オシレータートレード心得
・オシレータートレード実例
オシレーターとは
オシレーター(oscillator)とは振り子(振動するもの)を意味します。
相場においては価格の勢いを数値化して一定幅の振れで示したものを指し、概してオシレーター指標と呼ばれます。
価格の勢いが強ければオシレーター数値は上昇し、弱ければ反対に下降します。
※価格上昇≠オシレーター上昇、価格勢い上昇=オシレーター上昇に気をつけてください。
価格の勢い
オシレーターは「価格の勢い」を表したものと説明しましたが、価格の勢いとはそもそも何であり、どのように考えるのでしょうか?
そのためには基本となる、モーメンタムという概念について知っておくと良いでしょう。
モーメンタム(momentum)とは、運動量/勢い/推進力という意味で、相場におけるモーメンタムとは一定期間における価格の変化量です。
モーメンタムの計算式
モーメンタム=直近の終値−X日前の終値
モーメンタムが正であることは直近終値が過去の終値より高いことを意味します。
モーメンタムの上昇は、直近価格の上昇幅(直近の終値−X日前の終値)が大きくなり価格上昇の勢いが大きくなっていることを示します。
同様に考えると、モーメンタムが横ばいとは価格上昇の勢いが一定、モーメンタムが下降とは価格上昇の勢いが小さくなっていることを示します。
例えばモーメンタムが下降している時は価格が必ずしも下降しているわけではありません。
モーメンタムはあくまで価格の「勢い」なので、モーメンタムが下降していても価格は上昇していることも普通にあります。
高速道路から一般道に入った車は勢いがなくなるが、走行し前には進んでいる状態をイメージするとわかりやすいかもしれません。
オシレーターの設定
相場の価格の勢いを数値化して一定幅の振れで示したものがオシレーターです。
ここまではモーメンタム(直近価格−X日前価格)として価格の勢いを数値化し、オシレーターとして表示しました。
実はモーメンタムは価格の勢いの一例にしか過ぎず、他にも以下のようなオシレーターがあります。
オシレーターの種類
ROC
ROCとは(Rate of Change)の略で「変化率」のことです。
ROC=100(直近終値/X日前終値)
ROCはモーメンタムを割合で表したもので、これによって0%から100%までの境界が限定され指標分析とトレードの利便性が向上します。
RSI
RSIとはRelative Strength Index(相対力指数)の略です。
RSI=100ー{ 100 /(1+RS)}
RS=上昇終値のX日平均/下落終値のX日平均
RSIでは価格の勢いが強い時は、「①上昇あるいは下落の一方が多くなり、②その値幅は大きくなる」との前提から価格の勢いを計算します。
ストキャスティクス
ストキャスティクスは、価格上昇局面では終値は高値近くで引け、下落局面では終値は安値近くで引けるとの前提から価格の勢いを計算します。
※説明を単純化するため基準となる(%K)のみの計算
ストキャスティクス(%K)=100×(C-L)/ R
C(lose)= 直近終値
L(ow)= 最安値
R(ange)= 最高値ー最安値
以下は3つのオシレーターを同じ期間設定で比較したものです。
価格の勢いを見るためのアプローチと計算が違うため全く同じ形にはなりませんが、山と谷の形成など動きはよく似ています。
当然厳密には同じような軌跡を辿らないですが、これはオシレーターごとに価格の勢いの計算方法とものさしが異なるからです。
オシレーターの意義はあくまで直近価格の勢いを「過去」と相対的に比べることで、細かな数値や形状は重要なテーマと考えるのはふさわしくありません。
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オシレーターの期間
オシレーターは価格の勢いを計算する方法法の違いにより、多少の違いがあることはわかりました。
オシレーターはその他には期間設定により違いがでます。
以下はオシレーターRSIの比較で、短い期間5日(5期間)とデフォルト期間14日(14期間)です。
RSI期間5
RSI期間14(デフォルト)
期間が長いRSI(14)の方が上下の振れ幅も小さく、ギザギザしている上下動も少なく動きがなだらかです。
オシレーター系指標に限らずテクニカル指標でも期間が長いほど、グラフ(数値)の変化=振れはなだらかになります。
データのサンプル数が少ないほど、ある1つのデータが全体に与える影響度が大きくなります。
つまり期間が長いということはサンプル期間が「多い」ということで、期間が短いものよりなだらかな動きを示すのです。
これに関しては相場に正解がないため、明確な正解の期間はありません。
以下にオシレーターの期間の長短による特徴とメリット/デメリットを記載しました。
短い期間のオシレーター
- 特徴:小刻みな動きになりシグナルが多い/値動きの初動を捕まえやすいがダマシにも遭いやすい
- メリット:良い値動きに乗り遅れにくい
- デメリット:ダマシの値動きによる損失を受けやすい
- 例えるなら行動派で成功も多いが失敗も多い、「質より量」重視
長い期間のオシレーター
- 特徴:なだらかな動きでシグナルが少ない/値動きの初動を捕まえにくいがダマシには遭いにくい
- メリット:ダマシの値動きによる損失を受けにくい
- デメリット:良い値動きに乗り遅れやすい
- 例えるなら慎重派で成功も少ないが失敗も少ない、「量より質」重視
期間の長短で一長一短はありますが、トレードに慣れないうちはダマシや低確率トレードを避けるため極端に短い期間設定はNGです。
デフォルトの期間は長年に渡り使用され有効性を示してきていることから、まずはデフォルト期間で問題ないかと思います。
トレードに慣れ自分のトレードスタイルが固まってきたら、そのスタイルと相場状況に応じてチューニングするのがベストに近いでしょう。
オシレータートレード心得
オシレータートレードに入る前にオシレーター指標の位置付けを知ることが重要です。
トレンド指標とオシレーター指標はどちらが良い
FXや株のトレードをしていると、嫌というほど「トレンド」という言葉を聞くことになります笑
それはトレンドトレードは低いリスクで効率的に利益をあげる上で、もっとも優位性があるからといっても過言ではないからです。
トレンド指標とはトレンド追随型で、トレンドの始まりを見つけたり、トレンド時ははそのトレンドに乗ることを目的とした指標です。
相場は7割以上の期間がレンジ(横ばい)であると言われおり、ほとんどの期間がレンジであり常にトレンドがあるわけではないのです。
このようなレンジ相場で有効性が高いのがオシレーター指標なのです。
オシレーター指標はさらになんと、トレンド時でも大いに有効性を発揮します。
ここからは実際にオシレーターを用いたトレードを見ていきたいと思いますが、以下の2つの原則を念頭においておきましょう。
トレードは相場に沿って行うのが大前提であり、オシレーターは頼りになりますが過信し過ぎるのは控えるようにしましょう。
オシレータートレード実例
それではオシレータートレードの代表的な3パターンを見ていきましょう。
①ゼロラインをクロスで順張り
オシレーターの中には例えばROCのようなゼロラインという基準が設けられているものがあります。
ROCにおけるゼロラインとはROC=100(直近終値/X日前終値)より、直近終値=X日前終値となるポイントです。
つまりゼロラインを上抜く場合は直近終値が過去X日終値を上回り強気なこと、下抜く場合では直近終値が過去X日終値を下回り弱気なことを意味します。
図はオシレーターのゼロラインをクロスするタイミングでの売買を示したものです。
ここで重要なことは、ゼロラインのクロスでの売買は大きなトレンドの方向に行うことです(順張り)
トレードはトレンドに沿うことが、高確率で利益の大きなトレードになりやすいからです。
また2本の期間の違う移動平均線の差をとったMACDヒストグラムもオシレーターに分類され、こちらもゼロラインのクロスは売買シグナルとなります。
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②売られ過ぎ/買われ過ぎで逆張り
オシレーターは価格の勢いからマーケットの行き過ぎ、つまり買われ過ぎや売られ過ぎを警告してくれます。
そしてオシレーターの上限の買われ過ぎエリア、下限の売られ過ぎエリア、これら極値圏は逆張りトレードの機会を提供します。
このような上昇トレンドは価格が上昇している局面なので、順張りとは「買い」を意味します。(=トレンドフォロー)
さらに買う場合は買われ過ぎエリアでは高値掴み(購入後に一時的に価格を下げる)のリスクもあるため、基本的には売られ過ぎエリアで逆張り買いをします。
トレンドフォローの正しい考え方は、短期の小さな逆の流れのタイミングで長期の大きな流れに乗ることです。
これはつまり大きなトレンドの一時休止的な逆行波、上昇トレンドなら一時的な下落、下降トレンドなら一時的な上昇に乗ることです。
トレンドフォローについて理解や実践が浅いと、価格が上昇していれば買い、価格が下降していれば売りと一辺倒になります。
つまり相場に入りリスクを減らしつつ利益を最大化する絶好のタイミングを教えてくれるのがオシレーターの大きな強みです。
これは長期足のトレンドフォローのため短期足を使ってタイミングを図るということにも使えます。
③ダイバージェンスで逆張り
ダイバージェンスとは価格とオシレーターの指のインディケーターが逆行することです。
通常は価格とオシレーターは以下のように同じ方向に動き、価格が底をつければオシレーターも底をつけます。
以下の図では価格が底をつけても、オシレーターは底をつけません。
ダイバージェンスが発生した時は利益が出ているポジションは全部もしくは一部利確、新規に逆ポジションをつくることも可能です。
オシレーターは価格の勢いを表すので、価格の勢いに陰りが見えた際には実際の価格に先行しトレンド終了の可能性を警告してくれます。
このようなダイバージェンスはオシレータートレードにおいても信頼度が非常に高い位置付けです。
オシレーター指標まとめ
オシレーターはトレンド指標が使えないようなレンジ相場でも利益をもたらせてくれるものであり、またトレンド相場時にも重要な補助指標となります。
オシレーターは誤った使い方さえしなければ、相場のあらゆるタイミングで使えるまるで頼れるまるで名脇役のようです。
オシレーターは種類もいくつかあるので、個別の説明と使い方については他記事もぜひ参考にトレードに活かしてくみてください。