・RCIとは
・RCIと他オシレーター指標との違い
・RCIトレード例
RCIとは
RCIとはRank Correlation Indexの略で順位相関係数という意味です。
RCIは統計学においてデータの順位からデータの相関性を表すものです。
例えば「BMI」と「糖尿病」の相関性を調べるなど、データを順位付けしデーター同士どの程度相関があるかを数値で示します。
FXでのRCIは日付と価格の相関性から相場の勢いを表すオシレーター指標です。
以下はRCIの計算手順と実際の価格と日付データをもとにRCIを計算したものです。
RCI計算の手順
STEP1:直近時点を含む過去X日(x期間)の終値を価格の高いものからランキングする。
例:10日の場合、1番高い終値は1位、1番低い終値は10位となる
STEP2: 直近時点を含む過去X日(X期間)の時間を直近のものからランキングする。
例:10日の場合、当日は1位、10日前は10位となる。
STEP3:終値順位と時間順位の差をを2乗し、X期間分すべての合計値を求める。
RCI(x)= 100×[1-{(6×合計値)/(x^3-x)}]
RCI計算例
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 | 差 | 差の2乗 |
9日前 | 100 | 10 | 10 | 0 | 0 |
8日前 | 102 | 9 | 8 | -1 | 1 |
7日前 | 109 | 8 | 1 | -7 | 49 |
6日前 | 106 | 7 | 4 | -3 | 9 |
5日前 | 103 | 6 | 7 | 1 | 1 |
4日前 | 105 | 5 | 5.5 | 0.5 | 0.25 |
3日前 | 107 | 4 | 3 | -1 | 1 |
2日前 | 108 | 3 | 2 | -1 | 1 |
1日前 | 105 | 2 | 5.5 | 3.5 | 12.25 |
当日 | 101 | 1 | 9 | 8 | 64 |
138.5(合計) | |||||
16.06(RCI) |
RCIが最高なケース
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 | 差 | 差の2乗 |
9日前 |
101 |
10 | 10 | 0 | 0 |
8日前 | 102 | 9 | 9 |
0 |
0 |
7日前 | 103 | 8 | 8 | 0 | 0 |
6日前 | 104 | 7 | 7 | 0 | 0 |
5日前 | 105 | 6 | 6 | 0 | 0 |
4日前 | 106 | 5 | 5 | 0 | 0 |
3日前 | 107 | 4 | 4 | 0 | 0 |
2日前 | 108 | 3 | 3 | 0 |
0 |
1日前 | 109 | 2 | 2 | 0 | 0 |
当日 | 110 | 1 | 1 | 0 | 0 |
0(合計) | |||||
100(RCI) |
冒頭でRCIは日付と価格の相関性から相場の勢いを表すオシレーター指標と説明しました。
RCIの計算例からもわかる通り、RCIは直近価格の順位が高いほど高くなり価格の勢いを強いとするオシレーター指標です。
つまり直近価格が続騰(続落)しているほど、RCIは高く(低く)なります。
RCIと他オシレーターの比較
価格の勢いを一定幅の数値で表したものがオシレーターです。
オシレーター指標はRCIの他にもROCやRSIなど名前だけだとややこしくもあります。
RCIの理解はもちろんオシレーター自体の理解を深めるためにも、オシレーターごとの前提(アプローチ方法)をおさえておきましょう。
①価格変動幅を重視
ROCやRSIは値幅から価格の勢いを数値化するオシレーター指標です。
これは価格の勢いがある場合は、大きく上昇したり下落したりと値幅が大きくなるはずという前提をとっています。
ROC
ROCとは(Rate of Change)の略で「変化率」のことです。
ROC=100 {(直近終値−X日前終値)/X日前終値 }
RSI
RSIとはRelative Strength Index(相対力指数)の略です。
RSI=100ー{ 100 /(1+RS)}
RS=上昇終値のX日平均/下落終値のX日平均
RCIと名前が似ているROCとRSIですが、この2つは計算式からも価格の変動幅を重視していることが見て取れます。
②価格水準を重視
ストキャスティクスは、価格変動幅に対しての価格水準を数値化したオシレーター指標です。
価格の勢いが強ければ終値は高値近くで終え、下落局面では終値は安値近くで終えるはずとの前提をとっています。
※説明を単純化するため基準となる(%K)のみの計算
ストキャスティクス
ストキャスティクス(%K)=100×(C-L)/ R
C(lose)= 直近終値
L(ow)= 最安値
R(ange)= 最高値ー最安値
③価格と時間を重視
RCIは価格と時間を重視して相場の勢いを数値化するオシレーター指標です。
価格と時間を重視するとは、時間の経過と価格の動きの相関関係を重視するということです。
そのためにまず、サイコロジカルラインという概念をしると良いです。
サイコロジカルライン
サイコロジカルラインとは相場心理や市場心理を表したものです。
前日終値より当日終値が高かった日数÷期間×100=サイコロジカル(%)
(例)10日間のうち9日間が高かった場合サイコロジカル90(%)
RCI
サイコロジカルラインの考え方の通り、価格に勢いがある場合は上昇/下落の一方に偏り連続する傾向があります。
上記計算例の「RCI最高なケース(RCI100)」では直近まで価格上昇が連続し、直近ほど価格順位が高くなっています。
RCIでは直近の価格順位が高いほど価格の勢いは強い(上昇基調)、低いほど価格の勢いは弱い(下降基調)であることを示します。
RCIトレード実例
RCIの特徴をおさえるために他オシレーター指標の紹介と少し横道に逸れました。
ここからはRCIトレードの実例をチャートを使って見ていきましょう。
ただRCIといっても特別なことが多いわけではないので、オシレーターを用いたトレードの基本については以下記事なども参考にしてみてください。
この記事でわかること ・オシレーターと設定 ・オシレータートレード心得 ・オシレータートレード実例 オシレーターとは オシレーター(oscillator)とは振り子(振動するもの)を意味します。 相場においては価格の勢いを数[…]
①極値圏での逆張り
まずは極値圏での逆張りについてです。
これはRCIが高い数値の時に「売り」、低い数値の時に「買う」トレード戦略です。
上記は期間の異なる3本のRCIを表示しており、期間はオレンジ(14)、緑(26)、青(52)となっています。
この図の極値圏での逆張りでは思惑が外れ、買いでは価格が下がり、売りでもほとんど価格は下がっていません。
オシレータートレードの基本戦略はたしかに極地圏の逆張りですが、どんな時でも逆張りして良いわけではありません。
逆張りしてはいけない時は、大きな(長い)価格トレンドに反している場合です。
オシレーターはあくまで価格を基にした遅行指標であり、肝心な価格トレンドを無視してオシレーターに従うべきではありません。
オシレーターでもっとも犯しやすい間違いが、極地圏での反転を勝手に期待して逆張りをすることです。
相場は行き過ぎると戻ってくる傾向が多分にあるので、逆張りしたくなる気持ちは分かるのですが…
利益確定をする際の決済注文の逆張りならまだ良いですが、新規注文での逆張りは根拠や戦略がない限り推奨できるものではありません。
・トレンドに沿っていない極地圏での逆張りは危険!!!
・逆張り注文(新規)損失リスクを取るため推奨しない
・逆張り注文(既存)値下がりリスク緩和のため検討可能(※利益を伸ばせないリスク有)
②極値圏での順張り
トレンドに反した極値圏での逆張りは危険が伴うことを見てきました。
そのような危険を回避するため、オシレーターの極値圏での「順張り」を見ていきましょう。
オシレーターRCIの数値が「低い」(売られ過ぎ)時に「買う」、「高い」(買われ過ぎ)時に「売る」という点ではたしかに逆張りです。
ただ、これが長期の移動平均線やRCIが上げている状況の場合は果たして逆張りになるでしょうか?
図では①移動平均線の向きと②長期のRCIの数値に沿った、トレンドフォーロすなわち順張りトレードをしています。
長期観点ではトレンドフォローの順張り、短期観点でのオシレーターの逆張りがもっとも有効なトレード戦略です。
これが「押し目買い」や「戻り売り」というもので、トレンドフォローとはトレンド方向の価格を追っかけるばかりではありません。
トレンドに沿いつつも、価格が逆行した有利なタイミングで参入する必要があります。
つまり価格上昇か下降にどちらに賭けようが、結果がわからない以上は有利な価格で売買できる方がよいということです。
そのため、移動平均線と期間の違うRCIで方向とタイミングを掴むのです。
RCIまとめ
RCIは他オシレーター指標とは異なり、時間に大きく焦点を当てています。
時間に焦点が当てられた独自の計算方法からも、相場に入るべきまた出るべきタイミングを的確に掴むことができます。
相場では1にも2にも価格そのものとトレンが重要ですが、RCIを使えばそのトレンドにのるタイミングがかなり的確に掴めるはずです。