・RSIとは
・RSIの基本
・RSIまとめ
RSIとは
RSIとはRelative Strength Index(相対力指数)の略です。
名前からはイメージしにくいですが、要するに買われすぎ売られすぎを示すオシレーター系の指標です。
オシレーターとは振り子のことで、相場の買われ過ぎ売られ過ぎを一定の数値幅で表すものです。
RSIは指定期間の価格の上昇分と下落分を比較して、相対的に買われすぎ売られすぎを数値化します。
具体的な計算式は以下を見てみましょう。
RSI=100ー{ 100 /(1+RS)}
RS=上昇終値のX日平均/下落終値のX日平均
RSI高
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
終値 | 100 | 102 | 101 | 103 | 105 |
上昇幅 | 2 | ▲1 | 2 | 2 |
RS=(上昇終値5日の平均=2+2+2/5=1.2)/(下落終値5日の平均=1/5=0.2)=6
RSI=100ー{ 100 /(1+RS)}=85.7
RSI低
以下は上記RSI高と価格推移が逆の場合です。
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
終値 | 105 | 103 | 101 | 102 | 100 |
上昇幅 | ▲2 | ▲2 | 1 | ▲2 |
RS=(上昇終値5日の平均=1/5=0.2)/(下落終値5日の平均=6/5=1.2)≒0.167
RSI=100ー{ 100 /(1+RS)}≒14.3
RSIとストキャスティクス
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
終値 | 100 | 102 | 101 | 103 | 105 |
上昇幅 | 2 | ▲1 | 2 | 2 | |
最高値 | 101 | 103 | 102 | 104 | 106 |
最安値 | 99 | 101 | 100 | 102 | 104 |
上記はRSI高のケースに最高値と最安値を追記したものです。
この時のRSIは既に計算した85.7%で、実はストキャスティクスも以下のように同じ値となります。
(%K)=100×(105-99)/ (106-99)= 85.7(%)
期間が同じならばオシレーターとしての動きも似たような動きをします。
ただし5日目の最高値が106円ではなく110円だとしたら、%K=100×(105-99)/ (110-99)= 54.54(%)となります。
ストキャスティクスは一定期間の最高値と最安値の中で直近終値がどの水準かの指標なので、最高値から大きく戻された終値の場合はRSI数値と差が出ます。
上昇トレンドでは終値の上昇日数と上昇幅は大きくなり、下降トレンドではその逆の特徴が見られます。
RSIは一定期間の上昇幅と下落幅を比較することで相場の強さを測るオシレーター指標なのです。
その水準を0から100までのパーセンテージで示し、70〜80以上の高い数値は相対的に上昇がかなり強い、20〜30以下の低い数値は相対的に下落がかなり強いことを示します。
取引ツールMT4のデフォルト期間は14日であり、ひとまずはこちらを使うと良いと思います。
使用して長すぎて使いづらいと思えば細かいタイムフレーム(ex 15分足や1時間足)を試してみても良いでしょうし、より短期で売買を検討している場合は期間を少し短くしてもよいでしょう。
参考に期間の異なるRSIを以下で確認してみてください。
RSI期間5
RSI期間14(デフォルト)
トレンド系指標の移動平均線であろうがオシレーター系指標RSIなどであろうが、テクニカル指標全般で期間が長いほどインディケーターの動きはなだらかになります。
期間が短い方が価格の初動を捉えやすいですがその分ダマシも多くなります。
期間が長い方が価格の初動は捉えにくいですがその分ダマシが少なくなります。
このことからRSIの最適期間を追い求めすぎるのは合理的とはいえません。
相場はその瞬間ごとに唯一無二であり、しかも価格を元に作成される遅行指標のRSIの期間にこだわり過ぎるのはそもそもナンセンスなのです。
あくまで価格とトレンドありきで、その際に見落としがちなシグナルや値動き確認の補助指標としてRSIを活用するべきです。
RSIトレードの基本
ここからはRSIトレードの基本について見ていきます。
売買について公式的にただ暗記するのではなく、なぜ売買すべきかなど背景や理由を意識するようにしましょう。
①RSIと極地圏のクロス
RSIと極地圏のクロスとはRSIと買われすぎ圏(70以上)または売られすぎ圏(30)のクロスです。
図の赤丸(売られすぎ圏とのクロス)では買い、青丸(買われすぎ圏とのクロス)では売りが基本戦略です。
RSIはじめオシレーター指標は価格が上下するようなレンジでは効果抜群です。
レンジ相場では買われ過ぎるとやがて価格は下がり、売られ過ぎると今度は価格は上がるので、RSIの極地圏クロストレードで順調に利益が出せます。
ところがトレンド相場となると、上昇トレンドならば買われ過ぎ圏をクロスして脱出しても再度買われすぎ圏に突入することも多いです。
その場合は極地圏クロスでのトレードは逆張りとなり、損失が出てしまいます。
極地圏クロストレードはレンジ相場で特に力を発揮し、この場合は新規ポジションの利益を生み出します。
ただすでにポジション保有をしていて利益が出ている場合は、利益を守るために極地圏クロストレードを利益確定に使用します。
図左の売られすぎクロスの場合はトレンド反転の可能性があるので、それまで売りポジションを持っていたとすればクロスの時点で利確をします。
新規ポジションを取ることはリスクをとること、既存ポジションを手仕舞うことはリスクを減らすことで、この2つはまったく異なるものです。
図のような強いトレンド相場で極地圏クロストレードを使う場合は、トレンドの大波に逆らい新規にポジションをとるのではなく、反転の可能性を見越し利確に使うのが懸命なトレードです。
②RSIが50%ライン付近で止まる
RSIが50%ライン付近で止まる下げ止まり上げ止まりする際はトレードチャンスです。
ただこのトレードの有効性が高い時は以下のようなトレンド相場時においてです。
上昇トレンドならばRSIが50%を下回る、下降トレンドならばRSIが50%を上回ることは滅多にありません。
オレンジで記載しているのは指数平滑移動平均線(以下EMA20)です。
このトレードではEMAの向きすなわちトレンドに沿ったトレンドフォロートレードをしています。
一番左の買いのケースでは上昇トレンドにおける、オシレーターが一時的に大きく下げています。(50%付近を加減と想定)
③RSIが50%ラインをブレイク
RSIは上昇トレンドにおいて50%ラインを大きく下にブレイク、下降トレンドにおいて50%ラインを大きく上にブレイクすることはありません。
50%ラインをブレイクして来る場合に考えられることは、トレンドの終焉と反転においてよく起きます。
今回の例では50%を本格的に下回った主なケースが6回のうち4回がブレイクアウトとなっています。
※通常ブレイクアウトは2回に1回や3回に1回も起きません。
前半と後半の50%下方ブレイクによる売りは、サポートライン割れとグランビルの法則①(下向きの移動平均線をローソク足が上から下に抜く)もあり、RSIでも50%ブレイクが確認できるため信頼度は高くなります。
④RSIのテクニカルパターントレード
RSIのテクニカルパターントレードとは、RSIのサポート/レジスタンスラインあるいはトレンドラインをもとにトレードをすることです。
以下ではRSIが2019年から半年以上下げ続けているところ、その下降トレンドラインをブレイクしたので、ブレイクの方に売買をします。
RSIなどテクニカル指標は価格を元に計算/数値化された価格の遅行指標です。
そのため大前提は価格そのものや価格のテクニカルパターンを最優先させましよう。
そもそも今回のケースでは価格が抵抗線ブレイク+グランビル①の買いシグナルをブレイクしたことによって、RSIも価格に連れてテクニカルパターンをブレイクしてます。
RSIのテクニカルパターンブレイクは価格のテクニカルパターンに目立った動きはないが、オシレーターが急にブレイクや異常な動きをした場合にはじめて有効なものです。
⑤ダイバージェンス
ダイバージェンスとは価格とインディケーターが逆行することです。
通常は価格とオシレーターは以下のように同じ方向に動き、価格が底をつければオシレーターも底をつけます。
ダイバージェンスは価格が底あるいは山をつけても、オシレーターは底あるいは山をつけません。
今回は価格が安値を更新しましたが、オシレーターは安値を更新していない強気の乖離と言われるダイバージェンスを示しています。
ダイバージェンスが発生した時は利益が出ているポジションは全部もしくは一部利確、新規に逆ポジションをつくることもよいです。
RSIまとめ
RSIの成り立ちとRSIをトレードに活用する方法が少しイメージできたでしょうか。
繰り返しになりますが、テクニカル分析とは価格の分析であり価格そのものを一番重視することは当然です。
そのため価格推移を示した移動平均線によりトレンド分析をし、オシレーター指標でタイミングを測る、これが分析からトレードまでの一連の流れです。
まとめるならば、オシレーター指標を頼るべきであるが頼りすぎてはいけない。
用途用法を間違えないように、そのためにまずは基本をしっかり理解することです。
そうすれば、相場の応用問題にも必ず的確に対峙できるようになりますので、焦らず確実にやっていきましょう!