・ストキャスティクスとは
・ストキャスティクスの基本
・ストキャスティクスまとめ
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとはオシレーター系指標です。
オシレーターとは振り子のことで、相場の買われ過ぎ売られ過ぎを一定の数値幅で表すものです。
ストキャスティクスは%Kライン、%Dラインの2本のラインを元にしたテクニカル指標です。
%K、%Dとは特定期間の値動きを数値化したもので以下のように求められます。
%K=100×(C-L)/ R
%D=%Kの3日移動平均
C(lose)= 直近終値
L(ow)= 最安値
R(ange)= 最高値ー最安値
※MT4では%Kは5、%Dは3がデフォルト期間
ストキャスティクス高
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
終値 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 |
最高値 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 |
最安値 | 94.5 | 95.5 | 96.5 | 97.5 | 98.5 |
%K=100×(99-94.5)/ (100-94.5)= 81.81(%)
ストキャスティクス低
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
終値 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99→95.5 |
最高値 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 |
最安値 | 94.5 | 95.5 | 96.5 | 97.5 | 98.5→95 |
%K=100×(95.5-94.5)/ (100-94.5)= 18.18(%)
ストキャスティクスは直近の終値が一定期間の値幅(価格レンジ)の中で、どの程度の水準かを0から100までのパーセンテージで示すものです。
70〜80以上の高い数値は直近の終値が価格レンジの上限に近いことを示し、20〜30以下の低い数値は、価格レンジの下限に近いことを示します。
取引ツールMT4のデフォルト数値は%Kが5日、%Dが3日となっており、ひとまずはこちらを使うと良いと思います。
その結果、反応が早過ぎてダマシにあってしまう場合は期間を長く、反応が遅過ぎて乗り遅れる場合は期間を短くと微調整するのが良いでしょう。
テクニカル指標は期間を伸ばすほどグラフはなだらかになりダマシが少なく信頼度は上がりますが、反応は遅く乗り遅れやすくなるという一長一短があります。
以下はストキャスティクスの%Kの期間が5と14のもので、期間の違いによるインディケーターの違いを確認してみてください。
%K=5のとき
%K=14のとき
ストキャスティクスの期間の違いによりトレードの幅や結果も異なりますが、重要なのは期間設定ではなくストキャスティクス自体の考え方です。
価格上昇局面では終値は高値近くで引け、下落局面では終値は安値近くで引ける傾向があるというのがストキャスティクスを構成する上で重要な考えです。
つまりストキャスティクスは高値/安値で引けている度合いによって、相場(価格)の勢いを判断する優れた指標なのです。
ストキャスティクストレードの基本
ストキャスティクストレード前の準備として以下の用語のおさらいです。
- %K:特定期間の価格レンジに対する終値の位置を数値化
- %D:%Kを特定期間(通常は3)で平均化した%Kの長期線
では%Kと%Dを用いた実際のトレードについて見ていきましょう。
①%Kと%Dが極地圏外で推移
これは%Kと%Dが極地圏(買われ過ぎや売られ過ぎ)以外の領域で推移している場合です。
例えば2つのラインが売られ過ぎ圏の上方にあり、買われ過ぎ圏へ明確な方向性をもっている時は買いポジションをつくります。
図で「買い」として挙げている3つのポイントはその代表的なもので、売りポジションをつくる時は上記の逆の理由です。
さらに極地圏から反転してきた場合、買いポジションでは売られすぎ圏を脱出した付近に近いほど上昇余地は大きく大きな利益が期待できます。
売りポジションであれば、買われ過ぎ圏を脱出した付近に近いほど下落余地は大きいので大きな利益を期待できます。
②%Kと%Dのクロス
次に反応の速い%Kが反応の遅い%Dとクロスする時を売買シグナルとするものです。
これは移動平均線のクロスオーバー手法と似ていますが、要するに短期線が長期戦をクロスするのは直近の勢いが強いことを意味します。
つまり図のような売られ過ぎから買われ過ぎに向かう時に%Kが%Dをクロスすると買いシグナルとなります。
またクロス後さらに、%Kと%Dが極地圏をクロスすれば、より信頼性の高いシグナルとなります。
ここまでのケースでは価格とストキャスティクグは反転連動しており、そう考えるのも無理ありません。
①、②のケース以上にここでおさえてほしいことは、ストキャスティクスはあくまで価格(この場合は一定期間レンジに対する直近価格)に対しての遅行インディケーターでしかないということです。
つまり、ストキャスティクスは相場の先をずばり予知できるものではないということです。
オシレーターは反転やトレードタイミングを掴むことには大変優れていますが、強いトレンドが継続する時はしばしば誤ったシグナルを送ります。
次からは相場に強いトレンドがありオシレーター使い泣かせのケース③、④を見ていきましょう。
③極地圏に留まるか再突入する
極地圏に留まるか再突入するケースをまずは図で確認してみましょう。
図の極地圏を推移しているケースでは%Kと%Dがクロスし、その後に極地圏を下抜く売りシグナルが出ています。
ところがインディケーターに従い売りポジションをとっても価格は下がらず、今回の場合は近く損切りしなければいけないでしょう。
この反転に賭ける、すなわち勝手に反転を見越して逆張りすることが仇となるケースです。
①、②のケースのように、オシレーター指標はしばしば反転やレンジ売買の際の極めて有効な逆張り指標になります。
ただ極地圏に突入した時に「そろそろ反転するだろう」と反転を見越して取引する指標ではありません。
繰り返しになりますが、オシレーター指標は逆張りに効果を発揮することもありますが、
あくまで相場環境認識(トレンド分析)があった上での「補助指標」であり、ましてや反転を予知できる魔法のツールではないのです。
④%Kと%Dのクロス失敗
%Kラインの平均が%Dラインなので%Kラインを短期とすると、短期線%Kを平均化した%Dは長期線と見ることができます。
%Kラインと%Dラインのクロスの失敗とは、短期インディケーター%Kが長期インディケーター%Dにサポートされたような形です。
②インディケーターのクロスが反転シグナルになり得るということは、クロスの失敗はトレンド継続を示唆するシグナルです。
⑤ダイバージェンス
ダイバージェンスとは価格とインディケーターが逆行することです。
価格が上昇すれば通常はストキャスティクスオシレーターも順行して上昇しますが、ダイバージェンスでは逆行します。
図は価格が下げているがオシレーターは上げている強気の乖離と呼ばれるものです。
この場合は売りポジションを一旦利確、積極的にトレードする場合は相場状況や他指標をふまえて新規買いポジションをつくることも良いです。
ストキャスティクスは特定期間の価格レンジに対して直近終値がある位置を数値化したものです。
価格は上昇し高値を更新しても高値から大きく下に引けた(長い上ヒゲ)場合、インディケーターは前回ピークより低くなりやすく価格との逆行が起きます。
ストキャスティクスまとめ
ここまでストキャスティクスのトレード基本ルールを見てきました。
最後にストキャスティクスはオシレーター指標といわれる相場の行き過ぎを確認する指標です。
この指標は価格によって形成されるあくまで遅行指標で、トレンドにあれば極地圏に張り付き、レンジであれば極地間を上下します。
あくまで移動平均線などでトレンド分析(相場環境認識)を行なった上で、その方向にトレードする補助指標とするのが良いです。
ストキャスティクスはオシレーター系指標でも代表的なもので、実際のトレードではトレンド系指標やライントレードの補助として力を発揮します。
まずは個別の武器の使い方を覚えた上で、実際の戦にはなんの武器をいつ使うか、この考え方が重要です。