出来高とは

この記事でわかること

・出来高と建玉とは

・出来高と建玉の役割

・出来高と建玉トレード

出来高と建玉とは

FXに限らずトレードでは価格分析が圧倒的に重要ですが、出来高や建玉分析も必要です。

出来高とは相場でどれだけ活発に取引が行われているか、建玉とは相場にどれだけ資金が流れ込み過熱しているかを表します。

出来高と建玉について知ることで、価格だけからは読み取れない相場の先行きや相場からの重要なメッセージを受け取ることもできます。

本記事では出来高と建玉の役割から実際のトレードへの使い方をマスターしましょう。

出来高とは

投資における出来高とはある期間に取引成立した数量のことです。

1単位のものを買う人とそれを売る人の2人の行動が1セットとなり出来高は1単位となります。

出来高はヒストグラム(柱状グラフ)で価格チャートの下に表示され、出来高の多少は垂直な高さで表されます。

このチャートはGBP/JPY(ボンド円)の日足チャートと出来高(Volume)のチャートです。

ただ実はFXにおける「出来高」とは株式市場における出来高と扱い方が異なります。

そこで出来高の計算方法3つについて確認してみましょう。

 

①取引数量出来高

実際に取引成立した数量のことで、例えば1株の売買と100株の売買があれば、前者は1で後者は100と100倍の出来高の違いを反映します。

株式市場ではこのような取引数量出来高が用いられることが多いです。

 

②取引件数出来高

実際に取引成立した件数のことで、例えば1株の売買でも100株の売買でも1件の取引の場合は出来高1とする考え方です。

数量を考慮しないので厳密性は取引数量を考慮した出来高より劣ります。

 

③ティック出来高

ティック数とは価格の更新回数のことでFXではティック出来高を使用します。

出来高とは取引数量(取引件数)から相場における売買の活発さを表したもので、活発であれば数量や件数以外に価格更新も活発になるはずです。

ティック出来高は便宜上の出来高指標ではありますが、取引の活発さを表す指標と考えればティック出来高も出来高指標としての妥当性はあるでしょう。

 

 
トラッキー
FXと株の出来高は考え方が違うのか

 

FXでは外国為替市場が世界中に分散していることや、証券会社内で処理され外国為替市場に流れない注文など、正確な出来高計測は難しいです。

そのためティック出来高が使用されていますが、通貨先物の取引高を出来高として代用することもできます。

通貨先物の取引高はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のHPで確認可能です。

CME通貨先物出来高

建玉(取組高)とは

建玉(取組高)とは市場における未決済のロングもしくはショートの総数を表します。

1人の買い手と1人の売り手によってコントラクト(契約)が成立し1コントラクトとなります。※ロングとショートで合計2のコントラクトではない

この建玉の増減や多少を確認することで、出来高同様に相場の活発具合を確認し価格分析へと応用が可能です。

まずは建玉の増減とその多少についてみていきましょう。

 

①建玉増加(新規買いと新規売りの場合)

買い手が新規にロング(買い)ポジションをつくり、売り手も新規にショート(売り)ポジションをつくる場合です。

 

②建玉不変(新規の買い手に既存の買い手が売る場合)

買い手が新規にロング(買い)ポジションをつくり、既存のロング(買い)ポジションを清算する(売る)売り手がいる場合です。

新規の買い手と既存のロングを清算する売り手、新規参入と退出で相殺され建玉は変化しません。

 

③:建玉不変(新規売り手に既存の売り手がー既存買いの場合)

売り手が新規にショート(売り)ポジションをつくり、既存のショート(売り)ポジションを清算する(買い戻す)買い手がいる場合です。

新規の売り手と既存のショートを清算する(買い戻す)買い手、新規参入と退出で相殺され建玉は変化しません。

 

④:建玉減少(既存買いー既存売りの場合)

買い手が既存のロング(買い)ポジションを清算(売り)、売り手も既存のショート(売り)ポジション清算(買い戻す)場合です。

 

建玉増減一覧表

買い手 売り手 建玉
新規の買い 新規の売り 増加
新規の買い 既存の買いの清算 不変
既存の売りの清算 新規の売り 不変
既存の売りの清算 既存の買いの清算 減少

 

上記は建玉の増減をまとめた表です。

また建玉(取組高)はオープンインタレストと呼称されており、通貨出来高同様にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)HPで確認できます。

また国内の証券会社でも建玉をまとめてくれているサイトもあるので、そちらで通貨ごとの建玉の推移を確認することができます。

IMM:URL:https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/cftc/

出来高と建玉の役割

出来高が多いとは取引数やティック数が多く取引が活発であることを示します。

建玉が多いとは未決済のポジションが多くマーケットへの資金流入が多いことを示します。

つまり出来高と建玉を見ることで、価格だけからは分からない相場の活況や過熱度を知ることができます。

 

価格と出来高/建玉の関係性

価格 出来高 建玉 市場
上昇 増加 増加 強い
上昇 減少 減少 弱い
下落 増加 増加 弱い
下落 減少 減少 強い

 

価格の上昇局面では通常は出来高と建玉とも増加します。

価格が上昇している時はより多くの買い手が

 

出来高と建玉トレード

出来高と建玉を確認することで、相場における価格が順調なのかそれとも異変があるのか手がかりを知ることができます。

出来高と建玉トレードは以下3つの役割を果たします。

 

  1. 価格順行の確認指標
  2. 先行逆行の先行指標
  3. 買い手と売り手の優劣確認

 

①価格の確認指標

 

価格が新高値や新安値をつけた時の直近の出来高が最高になったのであれば、再び高安値を試し更新する可能性が高いです。

つまり価格の大きな動きがあった時、動きが本物でトレンドが発生するならば出来高は急増するはずです。

 

2019年12月からのサポートライン(下値支持線)を3ヶ月ぶりにブレイクし、その後に2019年10月からのサポートラインを6ヶ月ぶりにブレイクしています。

テクニカル分析ではこのような価格の動きそのもの、あるいはそれを視覚化した移動平均線によるトレンドが基本でありもっとも重要です。

ただこの価格の動きや背後にある売買の圧力は本物なのか、よりたしかに見極めるための価格確認指標として出来高を使用します。

テクニカル分析の元祖であるダウ理論でも「価格は出来高でも確認されなければならない」とある通り、大きな出来高を伴う価格変動は本物です。

価格+出来高を使用することで、相場のトレンドを見定めトレンドに沿ったトレードを防いでくれるのです。

②価格の先行指標

出来高は価格の先行指標としての役割もあります。

価格が上昇であれ下降であれ大きなトレンドとなる時は、必ずこれまでと比較して大きな出来高が伴います。

ところが価格が新高値や新安値を更新した際に、価格に対して出来高が大きくならない以下のようなケースがあります。

 

価格は新高値を更新していますが、出来高がは前回のピークよりも少なくなっています。

価格は強気に上昇しているが出来高は弱気に減少しており、このようなケースではトレンドの終焉あるいは反転が近く、出来高は価格の先行指標になり得ます。

このような動きはトレンド終盤で見られ、買いによる価格上昇ならばバイイング・クライマックス、売りによる価格下落ならばセリング・クライマックスと呼ばれます。

この局面ではトレンド反転が確定したわけではないので新規の売りは推奨できませんが、トレンド反転の可能性はあるので買いポジションの手仕舞い売りは検討すべきです。

③マーケットの買い手と売り手の優劣

最後は建玉から相場の優劣を見極め、相場の正しい方でトレードをし利益を出すことです。

以下は私が持っている国内証券口座OANDA JAPANより引用した、投機筋のポジションと建玉についてです。

また投機筋の買いポジションは上に伸びた棒グラフ、売りポジションは下に伸びた棒グラフ、折れ線は買いと売りを差し引きしたものの推移です。

これは2019年からのポンドの建玉を表示していますが、2019年12月過ぎから建玉は一貫して減少しています。

建玉が増加するとはマーケットに資金が流入し、減少はマーケットからの資金流出を示します。

建玉が減少している局面は相場から資金が流出、つまり利益確定や損失確定が徐々に終わり価格が反転に向かっていることを示唆します。

 

出来高と建玉まとめ

価格と出来高の関係は「鶏が先か卵が先か」との関係にも似ています。

ただどちらがというよりは、価格の動きが本物であれば取引数も資金流入も多くなり出来高と建玉とも増加します。

逆に出来高と建玉が増加している場合は価格の動きが本物である可能性が極めて高いとも言い換えられます。

トレードはやたらむやみに多くの指標や材料を頼ることは混乱の元ですが、相関性の高い指標同士であればそれらを確認することでより強固な相場分析が可能になります。