・DMIの基本と計算
・DMIトレード
・DMIのまとめ
DMIとは
DMIとはDirectional Movement Indexの頭文字をとったもので、方向性指数という意味のトレンド系指標です。
DMIとは具体的に
RSIやストキャスティクス系のオシレーター指標は、強いトレンドが発生した際に逆張り指標として役に立たないこともあります。
※レンジ相場では買われ過ぎで売り、売られ過ぎで買いと逆張りに使えるが、トレンド時では逆張りに向いていません。
- ±DM
- TR
- ATR
- ±DI
- ADX
- ADXR
①±DM
DMとはDirectional Movementのことで、当日の値幅と前日の値幅から求められます。
当日の終値が前日終値に対して上にはみ出ている場合は+DM、下にはみ出ている場合は-DM、はみ出ていない場合やはみ出方が同じ場合はDM=0となります。
取引ツールではDMI関連項目は自動計算されますので、DMIでは前日高安値と当日高安値を比較しているのだなと頭の片隅に置いておきましょう。
②TR/③ATR
次にTR(True Range)からATR(Average True Range)を求めます。
TRとは「真の値幅」と言われるもので、以下3つのうちから最大値をとったものです。
DMIツールでの平均期間のデフォルトは14日なので、TRの14日分の平均を求めるとATR(14)が算出されます。
④±DI/⑤ADX/⑥ADXR
DIとはDirectional Indicator(方向性指標)のことで、①DMと②TRから求めることができます。
ADXとはDirectional Index(平均方向性指数)のことで、上記DIから計算されます。
ADXRとはADXを特定期間のADXと直近ADXを平均したものです。(足して2で割る)
±DIの計算式
+DI=+DM/TR
−DI=-DM/TR
ADXの計算式
DX=(+DI)-(-DI)/(+DI)+(-DI)
ADX=DXの14期間平均
※期間デフォルトは一般に14
ADXRの計算式
ADXR=(X日前のADX+ADX)/ 2
※期間デフォルトは一般に14
DI
DIは前日と当日の値幅をもとにプラスの値幅かマイナスの値幅かを比較し、相場が上昇優勢か下降優勢か判別する指標です。
つまり+DI>-DIの場合ではプラス値幅の方が大きいので相場は買い優勢、+DI<DIなら逆にマイナス値幅が大きいので売りが優勢です。
DX
DXは+DIと−DIの差(+値幅と−値幅の差)を元に計算されるので、相場のトレンドの強さを教えてくれます。
例えば圧倒的に買いか売りが優勢の場合、+DIか−Diのいずれか一方が上昇し両者の差は大きくなります。
このようにトレンドの有無やトレンドの強さを数値として教えてくれるのがADXです。
DIラインやADXは取引ツールで自動描写されるので計算式暗記の必要はありません。
ただテクニカル指標を使ったトレードのために、数値はなにを意味しているのか?
その背景には常に注目するよう努めましょう。
2.DMIのトレードルール
ここからはDMIトレードの基本について見ていきます。
今回は買いシグナルを中心に説明していきます。※売りシグナルは買いシグナルと逆
売買を公式的に暗記するのではなく、売買の背景や理由を意識するよう心がけましょう。
①+DI>−DIは買い参入
+DIは前日高値と当日高値を比べて上にはみ出た値幅、-DIは前日安値と当日安値を比べて下にはみ出た値幅を元に計算されます。
つまり+DIが上昇している時は高値更新幅が大きく買いが優勢、−DIが上昇している時は安値更新幅が大きく売りが優勢となります。
図のように+DIと−DIの位置関係から売り買いどちらが優勢かを判断し、基本的には優勢な方でトレードをしましょう。
②+DIが−DIを下から上にクロス
+DIと−DIが買いと売りの優勢を示すことから、+DIと-DIのクロスは相場における買いと売りの勢力が入れ替わるポイント言えます。
+DIが-DIを下から上にクロスする(+DI<−DIが+DI>−DIとなる)、つまりこれまでの売り勢力を買い勢力が上回るため買いシグナルとなります。
③ADXが-DIを下から上にクロス
+DIが-DIを下からクロスした後にADXも-DIを下から上にクロスした場合は買いシグナルです。
ADX数値はトレンドの強さを表すので、ADXが−DIを上抜くとは、値動きのないレンジ相場からトレンド相場への転換可能性を示唆するものです。
上図でも+DIと−DIのクロスが発生した後、ADXがDIと下から上にクロスするとトレンドがはじまり、逆に上から下にクロスするとトレンドが終焉していくケースも見られます。
DIは優勢を見る指標、ADXは優勢度を測る指標と考えると、なぜクロスで売買シグナルと成り得るかが理解できるかと思います。
④ADX値が20以下の時はレンジ売買
ADXは値幅を元にしたDIから計算されているので、値幅の大きさすなわち「トレンド」の大きさ(強さ)を計測できます。
通常ADX30以上であれば相場にトレンドはあり、20〜30ではどちらともいえず、20以下ではトレンドがないという見方ができます。
ADX20以下ではDMIはもちろんトレンドフォロー系指標である移動平均線やMACDなどの有効性が極めて低くなります。
トレンドがない場合、例えば移動平均線ではローソク足や期間の異なる移動平均線同士が絡み合い、頻繁なダマシの売買シグナルを発します。
つまりADXが20を下回るような横ばい相場では、水平線によるレンジ売買かオシレーター系指標を用いた逆張りのレンジ売買も有効です。
DMIまとめ
トレンド系指標である方向性指数(DMI)について少しでも全容は掴めたでしょうか?
DMIはDIやADXといった構成要素から成り、主に値幅からレンド分析する指標と言い表せます。
ただトレンド系指標と言えばその代表的なものはなんといっても移動平均線です。
移動平均線は価格そのものの分析そのものであり、一目でトレンドや売買シグナルがわかりやすいという大きなメリットがあります。
あくまで移動平均線をメインとして考え、DMIをトレンドの強さや方向を数値として捉える補助指標として使いこなせば、より堅牢なトレードができるようになるはずです。