移動平均線(入門編)

この記事でわかること

・移動平均線とは

・移動平均線の各種設定

・移動平均線トレードの基本

移動平均線とは

移動平均線とはある一定期間の価格(終値)を平均しグラフ化したものです。

※終値(おわりね):その日の最後の価格

過去5日の平均価格の推移を示した「5日移動平均線」を例に見てみましょう。

 

6本目のローソク足での5日価格平均は、(100+102+98+101+103)÷ 5 =100.8円

7本目のローソク足での5日価格平均は、(102+98+101+103+105)÷ 5 =101.8円

同様に8本目(101.8円)、9本目(102.8円)、10本目(103.8円)、こうして移動平均線が描かれます。

 

 
トラッキー
簡単に作成できるんだね!

 

移動平均線はシンプルでありながらも、その設定や活用法は奥深いです。

まずは設定から見ていきましょう。

移動平均線の設定

移動平均線は「期間」「種類」「本数」と主に3つの設定基準があります。

 

 
トラッキー

 

ベストな設定はあるの?

 

残念ながらベストな設定はありません。

相場は常に唯一無二なもので、過去と似た価格パターンや状況があったとしても、過去と現在は完全な別物です。

つまり過去でベストと思える設定が仮にあったとしても、現在あるいは未来においてベストとは限らないからです。

 

 
トラッキー
じゃあ何を基準に設定するの?

 

ベスト=絶対的な設定はもちろんないですが、機能しやすい設定ならば話は別です。

一定多数の人が同じような設定をしており、同じような売買判断に使っているとすれば、その設定は機能しやすくなります。

価格を動かすのは他でもなく人であり、一定多数の人が同じような行動をすれば予言の自己成就、つまり最初に意図した結果が生まれやすくなります。

※予言の自己成就性について(コトバンク)

①種類

私が使用している取引ツールMT4では4種類の移動平均線があります。

  • 単純移動平均(SMA)
    (Simple Moving Average)
  • 指数移動平均(EMA)
    (Exponential Moving Average)
  • 平滑移動平均(SMMA)
    (Smoothed Moving Average)
  • 線形加重移動平均(LWMA)
    (Linear Weighted Moving Average)

※移動平均線の詳細な計算方法を知りたい方(MT5ヘルプページ)

 

 
トラッキー
名前が難しいし何を使うべき?

 

多くの人が使用している「単純移動平均」か「指数移動平均」のいずれかが推奨です。

「単純移動平均」は過去の終値の単純平均、「指数移動平均」は過去の終値のうち直近の終値に重きをおいた平均です。

以下はポンド円の日足チャートに「20日単純移動平均線(SMA)」と「20日指数移動平均線(EMA)」を表示したものです。

両者で大差はありませんが、価格が急騰急落した場合は指数移動平均線(EMA)の方が、直近価格重視のため反応が早くなります。

トレンドが発生した場合、価格の動きに対して反応が早いEMAの方がSMAより利益を大きくできます。EMA優位)

トレンドがダマシであった場合、価格の動きに対して反応が遅いSMAの方がEMAより損失を小さくできます。SMA優位)

 

 
トラッキー
両者で優劣はないってことね。

 

このように移動平均線の種類の優位性はその時々の相場トレンドで変わります。

よほどの理由がない限り、多くの人が使用する単純移動平均線(SMA)か指数移動平均線(EMA)で問題ありません。

ただし、より短期トレーダーほど価格への反応が良いEMAの方が無難かもしれません。

②期間

まず移動平均線のうちよく使用される期間を以下にまとめます。

 

  • 超短期:5日、10日(1〜2週間)
  • 短期:20日、21日、25日(1ヶ月)
  • 中期:50日、75日(2〜3ヶ月)
  • 長期:200日(半年以上)

 

これは平日取引営業日5日、20日は4週(1ヶ月)、75日はおよそ3ヶ月、200日はグランビルの法則、などを元にした期間です。

実際のポンド/円の日足チャートに主な期間の移動平均線を8本表示してみます。

 

 
トラッキー
期間が多くて決められないよ…
 

 

この後の移動平均線を用いたトレードにもつながってきますが、短期と中期少なくとも2本を選ぶと良いです。

例えば短期を選んだならば、20日でも21日でも「トレードで利益を出す上では」あまり変わらないので、どちらでも構いません。

当日あるいは数日の短期取引をする方は超短期線と短期線、数ヶ月保有する方は短期線と長期戦などでも問題ありません。

 

 
トラッキー
一般的な期間なら自由に決めて良いのか!

 

最後に補足をするならば、期間に正解はありませんが適していない期間はあります。

 

極端に「短すぎる」「長すぎる」マイナーな期間設定はNG
 

繰り返しになりますが、多くの人がトレンド判断と売買に使ってはじめて移動平均線に有効性が出ます。

2日あるいは1,000日移動平均線を使ったとしてもその有効性は大変疑問なところです.

③使用本数

移動平均線の①種類、②期間をここまで見てきました。

最後の③使用本数に関しても同様に絶対の正解はありません。

ただ多くのトレーダーは2本もしくは3本を使用することが多いです。

移動平均線を用いたトレード手法

移動平均線を用いたトレード手法は非常に多岐に渡ります。

✔︎移動平均線と水平線で売買する

✔︎移動平均線とRSIで利食いを決める…など

 

 
トラッキー
まだまだすごい数になりそうだ

 

最後に移動平均線の3つの基本的な使い方を説明します。

この3つは基本でありながらとても重要なので、必ずおさえるようにしましょう。

  1. 移動平均線の向き
  2. 移動平均線とローソク足の位置
  3. 複数の移動平均線の位置関係

①移動平均線の向き

相場環境認識とは現在の相場が上昇、下落、横ばいのいずれかを識別することです。

トレンドはフレンドという相場格言もある通り、大きな利益をもたらすのはトレンド相場であり、トレンドに逆らうトレードは懸命ではありません。

移動平均線の向きを確認することで、相場の価格トレンドを簡単に一目で識別することができます。

移動平均線の向き別の売買戦略は以下です。

移動平均線の向き

上向き:買い目線

下向き:売り目線

横ばい:売買は控える
※短期売買やレンジ売買は可

②移動平均線とローソク足トレード

ローソク足(現在価格)が移動平均線(過去価格)より上なら強気(買い目線)、下なら弱気(売り目線)と売買判断に使えます。

以下はグランビルの法則、移動平均線とローソク足の位置関係による売買ポイントです。

より具体的な売買判断とポイントについては以下「グランビルの法則」が役に立ちます。

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③複数の移動平均線トレード

3つ目は期間の違う複数の移動平均線の位置関係をもとにしたトレードです。

短期線が長期線を上抜くことをゴールデンクロス、下抜くことをデッドクロスといいます。

ゴールデンクロスの場合、短期価格が長期の平均価格を超え、価格は強い上昇中で買うのが望ましいということです。

先ほどの図でも、9月頭に超短期(5and10日)移動平均線が短期(20and25日)移動平均線をゴールデンクロスしています。

そして買いシグナルのゴールデンクロスが出て以降、価格が短期〜中期にかけて上昇トレンドを形成している様子が見て取れます。

移動平均線まとめ

移動平均線とトレードへの活用が少しイメージできたでしょうか?

移動平均線トレードはトレンドが発生している時は、一番シンプルかつ強力な手法といっても過言ではありません。

一方でシグナルがダマシであったり、トレンドがない時には機能しなかったりと万能ではありません。

ただ移動平均線を複数本使用する、他テクニカルツールやフィルターを使用するなどすれば、パフォーマンスは十分に向上します。

そのためには今回の移動平均線の基本を理解し、相場に合わせて応用(チューニング)できるようにしましょう!